2025年10月02日
【若者政策はどこへむかうのか】(2025年10月2日 第5回未来を担う若者支援検討協議会)
第5回未来を担う若者支援検討協議会を2025年10月2日に開きました。
条例制定に向けた大きな分岐点が来た、という感覚です。
良いほうの、というよりは、悪いほうの、分岐点なのですが…。
今回、正副委員長から、参照すべき他自治体の事例についての資料などが提出され、この協議会を立ち上げた意味そのもの「何のための若者政策か」について議論が交わされる中で、条例制定の是非・若者の定義・想定する施策等についても話が及びました。
02-(資料1)主な他都市の条例制定の状況.pdf
https://drive.google.com/file/d/1fCGsItppo8TmTyvByHRs_5cgm4v6bAmu/view?usp=sharing
03-(資料2)若者条例に係る取組概要まとめ.pdf
https://drive.google.com/file/d/1BiDAwh_B92I3zXkcRoz5b2IcNfXxEbBt/view?usp=sharing
04-(資料3)若者の定義について.pdf
https://drive.google.com/file/d/1ceTtnOVPROqAgJJWMh2W7veJ_o4gYBgb/view?usp=sharing
05-(資料4)政策条例と政策提言の比較について.pdf
https://drive.google.com/file/d/1lwn7D9_1RJjqYzAcPb6Edep4nuBEbdkM/view?usp=sharing
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🎤各会派の意見の違い
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◆ 自民・公明:「大分市をベースにする」「若者会議は必要ない」
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自民(泉谷委員)・公明(川本委員)・維新(ひろなか委員)は、「大分市をベースに議論を進めるべき」との意見で一致していました。
大分市の人口が47万人なので横須賀市と近い、というのが一番の理由として挙げられていました。
また、数値目標(KPI)や評価体制を整備した点への評価もありました。
共産(井坂委員)は、大分市が条例を作るに至ったプロセスに対して好評価をしていました。
大分市は「議会提案」で若者条例を制定しており、議会として若者参画の重要性を強調していることや、若者条例に先立ってこども条例を作ったプロセスがあって、若者参画の必要性に関する理解の上に若者条例ができたというプロセスへの評価でした。
なお、「公式な場で自分の意見を発言することがプレッシャーになる」という執行部(経営企画部)から示された意見を引用しながら、「公の場での若者会議は不要」というご主張もありました。これは、まさに若者の声をどのように市政に反映するかという点で大きな分岐を示す発言だと感じました。
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加藤ゆうすけ「そもそも新城市が今も最先端」「全部のいいところを取ればいい」「若者会議は必要不可欠」
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加藤ゆうすけは、これまでと変わらず、
①若者会議あるいは若者議会の設置
②審議会等への若者登用
③若者活動団体の後押しと居場所作り
の”3点セット”こそ本市に必要と引き続き強調したうえで、以下の点を指摘しました。
■大分市の若者政策は、新城市に学びながらから始まったもので、若者総合政策フルセット完備な最先端は今もなお新城市である
■若者議会を条例で規定して常設化し、予算提案権(上限1000万円)を持たせ、提案→市長→議会→実施と手続きが制度化されている(誰が市長になっても誰が議員になっても簡単には壊れない仕組み!)
■ 若者の意見が「聞きっぱなし」にならず、予算提案まで行える制度は他にない
私としては、大分市の政策はまだまだ発展の余地があるもので、むしろ先進的な制度設計を持つ新城市があるのだから、それをモデルにすればいいということを指摘しました。
また、正副委員長からの資料に示されている、湯沢市の条例も大変参考になるので、その点も指摘しました。
湯沢市の条例は若者のみならず、女性の活動支援にも特化した内容になっています。
・まちづくりへの参画機会の確保のために各種審議会委員に若者枠・女性枠を定数で設けるよう努めると条例に明記している
・市民アンケートの際に若者の意見を把握するため、若者のサンプルサイズを確保する補正をかけることが条例に書き込んである
・活動等に対する財源確保策として個人市民税の一定割合を当てることも条文に規定している
という具合に、かなり考えられて作られています。
なにより、地方創生2.0が出てくるはるか前の2017年からこれを条例化していることが驚きで、非常に参考になると指摘しました。
なので、何も大分市の事例決め打ちではなく、いいところを全部取り入れればよいではないか、という主張です。
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🤹議論の矛盾
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「その議論、矛盾してないだろうか?」と思う一幕もありました。
「若者議会はプレッシャーになるから不要」という一方で、「若者の声を反映する仕組みは重要」と述べていらっしゃる場面がありました。
ですが、若者の意見を吸い上げる制度を「制度化」しなければ、そもそもどのように声を届け、政策へつなげるのか、その道筋が見えません。
実際、若者の声を「制度的に」反映させることの重要性は多くの研究や若者支援団体からこれまで指摘されています。
なにより、それらを踏まえ、制度的に担保する必要性を立法事実として、先行する自治体は条例制定してきました。
また、「市には様々な計画があるから屋上屋になるのは避けたい」という意見もありましたが、「では今の制度の何と、若者政策の条例化がぶつかるのか?」という問いに対しては答えが無い場面もありました。
既存の制度に若者の声が届いていないからこそ、こうして協議会ができたはずですなのですが。
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💬まっとうで、現実的なのは、条例制定して若者政策を進めること
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加藤ゆうすけとしては、以下のような点を意識しています:
- 条例を制定し、法的裏付けをしたうえで若者政策を進めること
- 法令に裏打ちされた常設の若者組織=若者会議・若者議会の意義を十分にご理解いただくこと
- 他自治体(新城市・湯沢市等)の先進事例をくまなく検討し、最新かつ横須賀市に最も必要な条例条文・具体的政策を考えること
- 横須賀市の実情(例えば「はたらく課」事業がすでに存在する)に即して、市側に不足する視点を補完する提案をしていくこと
- 最先端の新城市にも欠けているジェンダー平等の視点(湯沢市の「若者・女性モデル」)も評価し、取り込むこと
また、「若者」の年齢定義においても、こども家庭庁や国連の定義、義務教育課程との関係を踏まえ、現実的に「おおむね16歳~29歳を対象とすることが適切ではないか」と整理して伝えています。
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✊今こそ「議会から社会を変えよう」
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協議会の設置目的に「若者の声を施策に反映させる場」とあるにもかかわらず、「若者にプレッシャーになるから若者に公の場での意見表明機会は不要」という声が出るのは、制度づくりの本質からあまりにも乖離しています。
むしろ今必要なのは、市民の声をきちんと制度として汲み取り、仕組みにしていく議会の力なはずで、市側に欠けている部分を議会側が補う動きなはずです。
そして、議員発案での条例制定はその象徴です。「市長部局が嫌がるからやめよう」ではなく、「だからこそ議会がやる」という姿勢が求められているのではないでしょうか。
なお、協議会で提示された「政策提言と政策条例の違い」にも、条例は法的拘束力を持ち、実効性が高い一方、提言は単なる意思表示にとどまると明記されています。
若者の声が「聞きっぱなし」で終わらないためには、条例として制度化することが必要です。
議会がその先頭に立つ。それこそが、「未来を担う若者支援検討協議会」の名にふさわしい使命ではないでしょうか。