2025年09月25日

【緊急通報システムが作動しなかった件】(2025年9月24日 決算の審査:民生分科会)

    【緊急通報システムが作動しなかった件】(2025年9月24日 決算の審査:民生分科会)
    9月定例議会も後半、決算審査を行っています。
    民生分科会にて私が質疑したものを報告します。
     
    ■【緊急通報システムが作動しなかった件】
    「ひとり暮らし高齢者等緊急通報システム」というものが本市にはあります。
    https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2640/g_info/l100000549.html
    65歳以上のひとり暮らし高齢者等が安心して暮らせるように、一定時間動きが無い場合に発報するセンサーを取り付け、安否確認をするシステムの設置補助事業です。
     
    このシステムが、利用者を委託業者が取り違えて登録したことにより作動せず、取り違えられたかたが亡くなった後初めて取り違えが発覚した、という事故が今年7月に判明、9月1日に議員に報告があり、このことについて問いました。事故については報道もされたため、残念に思う方も多かったと思います。
    ●参考:朝日新聞「90代死亡、緊急通報システムが作動せず 横須賀市「重大なミス」」
    https://news.yahoo.co.jp/articles/36c1a69e5d016e467ee9e3bf358f4eb1f55020fd
     
    調べてみると、このシステムは、契約上、「月1回の安否確認電話」が入ることになっていました。
    にもかからず、取り違えに半年も気づかなかった理由は?という疑問について、質疑で詳細を明らかにしました。
     
    質疑の結果、
     
    (1)取り違えられて亡くなった方(仮にAさん)がこのシステムを利用開始したのが2024年12月
     
    (2)Bさんがシステム利用開始をしたのが2025年1月
     
    (3)Bさんは利用直後に入院することとなり、「入院するからシステム止めて」と連絡をしたが、ここで取り違え発生(入院したのはBさんなのに、Aさんが入院と登録。よってAさんのシステムが止まる)。
     
    (4)取り違えたことに気づかないまま、Bさんは入院=家に不在=一定時間動きが無い=発報される。発報があったので、オペレーターが安否確認電話をしたところ、入院して不在とわかったため、Bさんも入院と登録
     
    (5)結果、「Aさんも入院」「Bさんも入院」と誤登録されていることが見過ごされる
     
    (6)2025年7月中旬にAさんが御自宅で亡くなられた
     
    (7)死亡後にAさんの御遺族がシステム利用終了したいと受託事業者に連絡をしたところ、Aさん宅が2025年1月に対象から外れていたことが判明。
     
    (8)なお、Bさんは今も入院中
     
     
    という経緯が明らかとなりました。
     
    ―――
     
    市の説明から判断するに、
    ①Aさんのシステム初回登録が2024年12月だったがゆえに、「月1回電話連絡がくる」ということをAさんが認識していなかった可能性がある
    →「今までは月1回電話連絡が来ていたのに途絶えたのはなぜかしら?」などとAさんが気づくきっかけがなかった。
     
    ②本システムのセンサーは、たとえ入院などで不在登録をしたとしても、センサー自体は動いていて発報はするが、長期不在の目印がついている家には安否確認電話をしない流れになっている。
    →「Aさんが不在なはずなのに発報が無いこと」そして「Bさんがいるはずなのに発報されていること」の両方の違和感に受託事業者が気づくきっかけがなかった。
     
    という2点が、今回の重大ミス発生の構造でした。
     
    市としての見解は、本件重大ミスは「事業目的の見守りができてなかったというところ」にあり、死亡との因果関係は不明としています。
     
    大切な人の安心・安全のためのシステムが機能しなかったこと、そしてお亡くなりになられたかたがいらっしゃることは、悔やまれてなりません。
     
     
    ―――質疑の書き起こし―――
     
    ▽加藤ゆうすけ
    一点だけ、同じ78ページの一人暮らし高齢者等緊急通報システム事業の部分について、関連の事業の部分を伺いたいと思います。
    こちらは、業務委託料の新旧機器の運用委託、3754万369円というのは、令和6年度に緊急通報システム業務委託で新たに長期継続契約として2029年6月までの入札で結んだということでまず間違いないでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい、その通りです。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    こちらの緊急通報システムをめぐっての話になります。
    今年の1月、つまり昨年度中ですね、ある利用者の入院連絡を受けた委託事業者のオペレーターが誤って別の利用者の入院情報として登録してしまって、誤って登録された利用者宅においてセンサーによる見守り、安否確認が行われず、早期発見の機会を逸する結果となってしまったということで、9月1日には議員にも報告をいただいているところでした。
    こちら、報道でも、「90代死亡、緊急通報システムが作動せず、横須賀市重大なミス」ですとか、「横須賀市の高齢者見守りサービス、安否確認できず、死亡も因果関係不明」と報じられるなど、令和6年度の市の事業執行の中で起きた特に命にかかわる重大なミスとして重く受け止めているのですが、まず、この取り違いをされたご利用者が亡くなられたことと本件重大ミスとのこの因果関係に関する市の判断の根拠の部分について、少し詳細に伺えればと思います。


    ●介護保険課長
    はい。ご利用者の方は亡くなられたんですけれども、その亡くなられた原因と今回の安否確認が即時対応できなかったということについて、亡くなられた原因というのは不明というふうに伺っております。
    で、本市としては、事業目的の見守りができてなかったというところが非常に重大な案件だったと捉えております。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    緊急通報がされなかった件というのは、発生日が2025年1月なので、旧システムの事業者から新システムの事業者への移行期間、2024年7月から2025年3月末の最中に当たると思うんですが、今回の重大ミスというのは、旧システムの委託事業者のオペレーターのミスなのか、それとも新システムの委託事業者のオペレーターのミスなのか、あるいは無線型の別の事業者も2025年1月からは登場しているので、これ、どちらになりますでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。こちらは固定型の新しい大阪ガスでのオペレーターのミスということになります。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    ありがとうございます。少し本件重大ミスについて整理をしたいんですが、
    (1)1月に本件取り違いをされた女性、仮にAさんとしますが、誤って登録を外れ、登録をお願いしたいとお願いした、仮にBさんとしますが、Bさんは登録されたままだった。
    (2)7月の中旬に女性Aさんが御自宅で亡くなられた。
    (3)死亡後に御遺族がシステムの登録を解除したい委託事業者に連絡をしたところ、女性Aさん宅が1月に対象から外れていたことが分かった
    という経緯だったと思います。
    その中で、業務委託の入札に当たって、ウェブに掲載されていた「横須賀市緊急通報システム固定型業務委託特記仕様書」というのを確認したんですが、6ページのところに、ちょっと読み上げますが、このようにございました:
     
    (3)安否確認電話
    ①月に1回以上、利用者への電話連絡により、身体状況、生活状況等の把握をし、利用者の安否確認、相談業務を行うこと。また、緊急通報装置を十分に活用できるよう使用方法の啓発をし、日ごろから通報しやすい体制を整備しておくこと。ただし頻度等について利用者から希望がある場合は、柔軟に対応すること。
    ②利用者の応答がない場合は日を改め、なお応答がない場合で、センサー機器により生活反応が確認できている場合は、応答なしの記録のみ残すこと。」
     
    とありまして、私も今回決算審査に当たって特記仕様書をつぶさに眺めて初めて知ったんですけれども、つまり、この仕様書に基づくと、受託事業者が月に一回以上、利用者への電話連絡により確認をしているはずなんですね。
     
    となると、1月から7月まで半年あったわけですから、「入院するから不在にしますよと連絡入れたはずなのに、毎月電話連絡が来るけれど何なんだろう」っていう事象が、入院連絡を入れたけれど不在扱いにされずにそのままにされたBさんに発生すると思うんですね。なので、このBさんに対する安否確認電話の1月から7月までの状況について少しお聞かせいただけますでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。このBさんについては、設置が2025年の1月でした。
    設置月には月1のコールはしないということになっていまして、で、この方は本当に入院されていたのでセンサーの発報があったわけなんですけれども、24時間以上動きがないという発報があったわけなんですけれども。
    で、それで、大阪ガスの方で安否確認の電話をしたところ、入院しましたよということを知りまして、長期に、では不在するということで、長期不在のフラグを立てたということでした。
    で、そういう長期の不在フラグが立っているとかについては月1の電話確認というのは省略するということになりますので、そういうわけで、1月から現在もこの方は入院中でして、判明した7月までの間には1度も安否確認の電話はされていないという状況になります。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    詳細にありがとうございます。念のため、今伺ったところ、確認なんですけれど、入院連絡をもらって不在情報が登録されれば、センサーは動くものも検知しなくて、発報しなくて、オペレーターが感知しないという形なのか、それとも、不在情報を登録してもセンサーだけは動いていて、発報はされるけど不在のフラグが立っているからっていうのを、オペレーターが個別に確認して、何か誤作動かなってことで電話連絡をするのか。このあたりはどのような挙動になっているんでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。今のケースですと、後者の方です。不在のセンサーが働いていて発報はするんですけれども、長期不在フラグが立っているということで駆け付けは行わないというような仕様に、システムになっています。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    ありがとうございます。今度は、本件女性Aさんの話に移るんですけれど、月一回の電話が従前来ていたのに、一月以降電話がかかってこなくなったなと気づく可能性というのが半年あったのであり得るかなと思うんですが、この本件女性Aさんに対しては、毎月の電話連絡は、本件取り違えが起こる前は行っていたんでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。Aさんについては、機器の設置が2024年の12月でした。
    ですので、12月設置月は月1コールはなく、で、1月にこういった取り違いが発生しましたので、以降、7月まで、月1の電話連絡はない状態でした。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    たまたまそのタイミングと言いますか、月1の電話連絡というのが機能しないタイミングで登録をされてというのが、運悪くも取り違いに気付かなかった原因なのかなというところが今少し伺う中では見えてきたところではあるんですが、念のため、この新システムの事業者の安否確認電話連絡というのは、この令和6年度のシステム切り替えで契約された以降、そのほかの利用者にはちゃんと毎月1回電話はされてるんでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。仕様にも定められていますし、通常ですと利用者の方には月1回電話連絡されていて、市の方にも月遅れではありますが報告書というのが上がってきていまして、そこでも電話連絡しているということは確認ができます。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    この安否確認電話は、確認なんですけど、旧システムの事業者も新システムの事業者もしっかり契約書にのっとって行われているということで間違いないでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい、おっしゃる通りで、旧システムも新システムのところも電話連絡していただいています。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    今回、今の話が固定型だったんですけれども、無線型の2社も「元気コール」月1回というふうにあるんですが、こちらも月に一回電話連絡は必ずしてるよということでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい、無線型についても同じく電話連絡されております。
     
    ▽加藤ゆうすけ
    今回、今伺って、たまたまその登録月の関係で、月1回の安否確認電話が機能しなかったということが大変残念な結果に結びついたのかなと思うので、その点についてはカバーすることが難しいのかもしれないんですけれど、やはり人間がミスするということは、人間ですからあり得ることで、オペレーターの方をむやみに責めることでもないとは思います。
    ただ、そういった事態も含めて、ミスがカバーされるように、月一回の安否確認電話というのは、長期契約でもありますので、絶対に履行されることを期待して、その点について、最後、御所見だけ伺って終わりにします。
     
    ●介護保険課長
    はい。月1回の電話というのは、やはり安否確認のためにも大切なものですし、今回の事案を受けて大阪ガスとは協議をしまして、再発防止策として、まずは取り違いのないように、住所と名前だったり生年月日だったり、3点での確認の徹底ですとか。
    あとは、長期不在の方であっても戻ってきましたという連絡をもらうこと。戻ってきましたという連絡をもらうこと、不在フラグを外す連絡が利用者の方からいただけないことも想定されますので、そこは、フラグを立てている方でも安否確認の電話は必ずするですとか、あとは、利用者のかたに、戻ってきたら連絡をしてくださいというのをちょっと周知を改めてしたりですとか、そういった改善をこれから、改善は、一旦はしたんですけれども、やっぱり運用している中でこういう思わぬミスというのが想定されますので、そこは大阪ガスとも定期的に協議の場を設けて、運用の中でちょっとこれはって思った時にすぐ相談できて、すぐ改善に結びつけられるような、そういった委託関係を築いていきたいと思っております。
     
    <<後刻、確認として>>
    ▽加藤ゆうすけ
    すいません、介護保険課に先ほどのところで1個だけ確認をしたいんですが、よろしいでしょうか。
    先ほどの話に戻るんですが、Aさんは機器を設置したのが2024年12月で、設置月は電話はしない、1月に取り違えて、7月まで月一回の連絡はなかったというのは承知したんですが、不在情報が登録されても発報だけはするけど駆けつけは行わないというところで、その、「(※入院しているからAさんが家に)毎月いないはずなのに(※Aさんではなく本当は家にいないのはBさんだからBさんの家から)毎月発報がある」っていうところはどういうふうに捉えていたんでしょうか。
     
    ●介護保険課長
    はい。そこがですね、非常に機械的に判断していたということが今回の件で分かりまして。そうですね、なんて言うんでしょう。その、違和感を察するというか、そういったところがなかったというのも今回の要因の1つであったと考えております。
     

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